性病が気になる方へ
性病とは性行為によって移る性行為感染症のことを指します。症状はおりものが増える、臭いがする、かゆみがある、お腹が痛くなる、性交渉時に軽い痛みがある、外陰部にできものがあるなど様々です。また無症状のまま経過し、将来不妊症の原因となることもあります。性病検査を勧める方は以下のような方です。
1.おりもの異常やかゆみ、性交痛、外陰部のできものなど何か気になる症状があり、性行為感染症が疑われる方
2.不妊症の方(クラミジア感染症)
3.結婚前や妊活前に女性ヘルスチェックを希望される方
4.パートナーが性病と診断された方
5.複数のパートナーがいる方
6.あまり面識のない方と性交渉があった方
7.性産業に従事されている方
1.クラミジア感染症
クラミジアが性交渉を介して感染します。おりもの異常やかゆみ、軽い性交時痛などの症状があることもありますが、多くの女性は無症状です。20代の性交経験のある女性では5~10人に1人は感染していると言われています。性行為感染症の中で日本のみならず、世界でももっとも頻度の高い性行為感染症です。感染に気がつかないまま放置すると不妊症の原因になることがあります。子宮頸管内のクラミジアDNAの確認や血液検査で診断します。治療は抗生剤の内服を行い、クラミジアが消失したことを確認します。分娩時にクラミジアに感染している場合、児に難治性の結膜炎や咽頭炎を引き起こす可能性があります。
2.淋菌
淋菌が性交渉を介して感染します。男性は排尿時痛やペニスから膿がでることで感染に気がつきますが、女性は無症状の事が多く、放置すると不妊症の原因となることがあります。診断は子宮頸管内の淋菌DNAの確認や淋菌培養検査があります。治療は抗生剤の点滴を1日のみ行います。クラミジア感染を併発していることが多いため、クラミジア感染と診断された方は必ず検査をお勧めしています。治療後は淋菌が消失したことを確認します。
3.性器ヘルペス
ヘルペスウイルスが性交渉を介して感染します。初回の感染では外陰部や尿道周囲に歩けなくなるくらいの強い疼痛を伴う水ぶくれや潰瘍を作ります。発熱やリンパの腫れが起こることもあります。診断は視診(見た目)とヘルペス抗原のチェックなどを行います。内服薬で治療します。ヘルペスウイルスは潜伏感染となり、しばしば完治せずに再発を繰り返します。再発時の症状は軽い場合が多いですが、早めの治療が必要です。また、何回も再発を繰り返す場合は再発予防を目的とした長期間の抗ウイルス薬の内服を行っています。妊娠中は初発のみでなく、再発時も胎児や新生児への感染リスクがあり、抗ウイルス薬内服や分娩方法の検討などが必要です。
4.トリコモナス感染症
トリコモナス原虫が主に性交渉を介して感染します。症状はおりもの異常やかゆみなどです。ピンポン感染と言われ、卓球のラリーの様に男女間で感染を繰り返します。トリコモナス原虫は水の中でも数時間生き延びるため、温泉やタオルからの感染例も報告されています。性交渉の覚えがなくても、違和感を感じたら受診しましょう。診断はおりものを顕微鏡で調べ、原虫を確認します。治療は腟洗浄、腟座薬と内服薬(腟だけでなく、膀胱への寄生がしばしば確認されるため)です。
5.尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスが性行為を通じて感染することで起こります。性器や肛門周囲に鶏のトサカ状やカリフラワー状のイボが複数できます。診断は視診や病理診断にて行います。治療法はクリームを用いた方法、外科的切除などがあります。再発を繰り返し易いため、一度の治療では完治が難しい場合もあります。
6.梅毒
梅毒トレポネーマが性行為を介して感染します。症状は病気の時期によって多彩です。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳神経や心臓などに重大な合併症を起こすことがあります。近年増加傾向にあり、社会問題になっています。妊娠中の梅毒感染は児に先天性梅毒を引き起こすことがあります。血液検査で診断できます。内服治療を行います。早期の薬物治療で完治が可能です。
7.ウイルス性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)
肝炎ウイルスが性交渉、血液、母乳などを介して感染します。肝炎では、病状が進行することで、全身倦怠感や食欲低下、吐き気など漠然とした症状が出現することがあります。また、黄疸やお腹の痛みを自覚することもあります。また妊婦さんの場合は母児感染のリスクを下げる対応が必要です。血液検査で診断できます。専門医による治療が必要です。
8.HIV感染症
HIVは、感染者の血液や精液、腟分泌液に多く含まれ、感染する経路には性行為による感染、血液を介する感染、母子感染の3つがあります。HIVに感染すると長い期間をかけ免疫力が低下し、エイズ(AIDS)を発症することがあります。血液検査で診断を行います。診断された場合は専門医による治療が必要です。
よくあるご質問
症状がなくても性行為感染症にかかっている事は良くあります。不特定の方と性行為があった後で気になる場合にも検査をおすすめします。
パートナーも性行為感染症を疑う症状が出た場合や女性側が確定診断された時はパートナーに検査をおすすめする場合があります。お気軽にご相談ください。
可能です。ご心配な場合はお気軽にご相談ください。
お問い合わせ・ご予約
Tel. 092-852-7301